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写真はコブラの形をした初期のモデルです

■ コブラ開発物語

・製作者の紹介

このページでは、コブラがどの様なきっかけで作られる事になり、現在に至ったのか、その過程を紹介することにしました。
初めてこのサイトに来てくださった方はコブラは知っていても、製作者のことは知らないと思いますので、このページではまずは製作者の紹介をしたいと思います。
コブラを開発いたしました田辺祐一です。
コブラの製作に関しては今のところ、基本的に私が全て行っております。
私の経歴ですが、私は日本で生まれ育ちました。大阪芸術大学で工芸とデザインの勉強をし、卒業後は、大阪に本社がある大手の家電会社に就職しました。そこで数年間プロダクトデザイナーとして家電製品のデザインの仕事をしてまいりました。その後、ある知人からの誘いがきっかけとなり、その家電会社を辞め、アメリカに渡ることを決意しました。
アメリカに来てからは、まずは英語とアメリカの文化を学ぶ為にニューヨークの、ある大学のESLコースに入学することにし。そこでまた学生に戻ることになりました。
その後、フランス系のジュエリー会社に就職し数年間グラフィックデザイナーとして働きました。
後に独立してフリーのデザイナーとなり、企業の商品カタログや広告デザインの仕事、その他にはマルチメディア系の仕事なども行うようになり、現在に至っています。
硬いデザインの仕事の合間に、趣味でファインアートの絵も気が向いたときには描いています。
これからは、フルートや音楽関連の絵を増やして行こうかなと思っています。
こんな感じです。

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そんな私が、何故フルート用のアクセサリーを作るようになったのか・・・?
では次に、その経緯をお話しします。
コブラは私のメインの仕事とは全く違ったところから、偶然に立ち上がることになったものなのです。
私がフルート関連の商品を製造販売することになったのは、芸大時代に、ある友人の影響を受けてフルートという楽器が好きになり、余暇の楽しみとして吹くようになったことが一つの原因だと言えます。
出来ればフルートを吹くことに、もっと時間を割いて、仲間との合奏や公の場での演奏も楽しみたいなと思いながらも、なかなか時間が取れないのが悲しい実情です。
ですから、フルートはもう長年吹いているのですが、専門の方から見ると演奏技術はお恥ずかしいレベルです。
それでも性格的に凝り性な所があって、フルートは何本も持っていて、安い洋銀製のものから、総銀製、9Kのプロ使用の楽器なども集めるに至っており、それらの楽器の特性や音色の違いなどを楽しんでいます。
私はフルートの演奏は素人なのですが、素人ながらもフルートという楽器に魅せられました。
楽器のフォルムの美しさと音色が大好きなのです。
コブラを作るようになってからは、その傾向は年とともにますます強くなっているように思います。
ですから、フルートを演奏する方々のフルートに対する思い入れや、逆に抱えている問題点なども、私には十分理解することができますし、同じ感情を共有することが出来ると思っています。
そうしたところから、コブラが誕生することになったのです・・・。
以上が、 私の簡単な自己紹介と経歴です。

・コブラ誕生のきっかけ

コブラは、元々自分用に作ったもので、商品化することなど全く考えていませんでした。
ここに写真
Making-Cobra–01
コブラ製作中の様子 1
自己紹介のところでお話したように、フルートは趣味で始めました。 練習中、時々左手から滑り落ちそうになるので、何とか滑り落ちないように出来ないものかと考えたのが始まりです。
フルートが手から滑り落ちるのなら、滑り落ちないようにフルートを手に紐で結びつければいいのではと、バカなことを考えました。
フルートを左手の人差し指に紐で結びつければフルートは絶対に落ちないことは誰にでも分かります。
あなたも一度はふと考えたことがあるのではないでしょうか?
ただ、一瞬そうは思っても普通ならそのあと、すぐに新たに発生る沢山の問題点が頭の中に浮かんでくるので、実際にフルートを紐で指に結びつけるというようなバカなことはしないと思います。
私も、それほどバカではないので、フルートが滑るたびに、頭にきてフルートを指に紐で結んでやろうかと、何度も思いながらも、実際にやってみることは無かったのです。
ところが、蒸し暑い夏のある日、冷房の無い部屋でフルートの練習を始めたのですが、10分もすると汗でフルートがズルズルと滑って練習にならず、フルートを吹くのを諦めました。
他に何かする予定も無かったので、椅子に座ってしばらくポカーンとしていたのです。
そのとき、たまたま荷紐が床に転がっているのが目に入りました。そして暇なのとで、今まで頭の中で何度か考えた、あのバカなことを、この紐を使って試して見たくなったのです。
そこで、ハサミを探して来て適当な長さに紐を切り、人差し指にフルートを縛り付ました。すると、当たり前ですが予想通りフルートを手から放しても滑り落ちなかったのです。
そして、試しに曲を吹いてみると、思ったより紐が邪魔にならずに曲を吹くことが出来たのです。
その上、予想していた以上に吹きやすいことに自分でも驚きました。 もちろんその後、紐をほどくのが大変でハサミで切り離すことになります。
しかし、これなら紐を結んだり、ほどいたりすることさえ簡単に出来れば、何とか使えるようになるのではないかという気がしてきたのです。
そこで、紐の代わりに針金を使えば、形がもっと自由に作れるし形を固定することも出来るので、工夫すれば結んだり、ほどいたりする手間を省けるものが作れるかもしれないと思いました。
そこで、適当な針金を探してきて試して見たのです。
しかし、すぐに起こった問題はフルートに硬い針金を巻き付けると、だいじなフルートを傷つけてしまうことでした。
そこでもう一度、物置小屋を探して見つけたのが電線です。電線には柔らかいビニールが被さっていました。
これならフルートを傷つけないのでは?と思いました。それを適当な長さに切ってペンチで曲げ、今度はフルートにではなく、自分の人差し指にくるっりと巻きつけて、フルートが乗っかる部分だけ少し突き出させた形にしました。
今度は、フルートは滑り落ちないし、取り付け取り外しが簡単、しかもフルートを傷付けない、という最低限の機能をクリアさせるものが作れたのです。
これが、最初のコブラ誕生の第1号作品だったと言えるかもしれません。

・コブラの更なる進化

私には、娘が一人いるのですが、当時ハイスクールのブラスバンドでフルート吹いていました。
娘に、初めてコブラの試作品を見せて、ためしに使ってみるように言いました
そのときは、娘に「そんな変なもの指に付けたくない」と言われました。それでも実験だからと言うことで、無理やり頼んでコブラを指にはめてもらって、フルートを吹いてもらいました。
その結果、娘が言った言葉は、「特にフルートがすべって困ること無いから、こんな変なもの付けない方がいい・・・」でした。
それは、現在のコブラからすると、まだビニールの皮が付いている太い電線を曲げただけのもので、ヘッドやテールも大きくてブコツな形をしていましたから、娘に「変な形のもの」と言われても当然と言えば当然の形をしていました。
それから約1年後、娘は大学生になってフルートの演奏学科を専攻することになり、新しい総銀製のオープンホール、Bフット管付きのフルートを買うことになりました。
そのフルートはそれまで使っていたフルートよりかなり重く、娘が演奏する曲も高度になってきたので、フルートを上手に支えて吹くのが難しく感じるようになったようです。
ある日、娘の方から、「お父さん、わたし用のコブラを作ってほしい」と言われたのです。
理由は、もしかするとコブラを使ったら、もっと楽に吹ける様になるかも知れないから・・? でした。
そこで、初めて彼女の指のサイズにピッタリ合わせ、スタイルも現在の「コブラA」 の形に近いスリムなコブラを気を入れて作ってあげることにしたのです。
今度は、ハイスクールの時とは違って、コブラを随分気に入ってくれました。
それまでは、プラグをはめないと上手く押さえられないキーが一つあったのですが、コブラを使うとプラグが無くても指が届くようになったのと、難しい指使いの曲を吹いても安定してフルートを支えることが出来るようになったようで、大変喜んでくれました。
その時、初めて自分以外の人でも、コブラを使うとフルートが吹きやすくなると言うことが実証できたのです。
そこで、気を良くした私は、本気でコブラのヘッドやテールの形、材質などを改良を試みました。
そして、コブラは機能面だけでなく、見た目にもかなりスッキリと洗練されたた、自分ではかなり納得できるレベルのものを作り上げることが出来ました。

・ついに商品化されたコブラ

これは自分だけが自分のためだけに密かに使っているのは罪なのではないかと思うようになりました。
世の中には私と同じようにフルートがすべって吹きにくいと、悩んでいる人が沢山いると思いました。
そういう人たちがもしこのコブラの存在を知ったなら、きっとコブラを使いたいと思うのではないかと考えたのです。
そこで、試しにウエブ上のネットショップで、作ったコブラを売り出して見ることにしたのです。(このページの頭に載せている写真のコブラ)
しかし最初の数ヶ月間は全く売れず、やはりこんなものはだれも買わないのか・・?? と思っていると、そのやさきに、一つ売れたのです。
これには、正直驚きました。
しかし世の中には、珍しいものはとにかく買ってみるという物好きはいるものです。
多分そんな人が面白半分で買ってみてくれたのだろうと思っていました。
ところが、それからしばらくすると、また別の人が一つ買ってくれて、それからも時々買ってくれる人が続くので、これならもう少し改善して更に品質の良いものを作れば、もっとコブラをほしいと思う人が増えるのではと思いました。
そこで、更なるコブラの品質改善をすると同時に、ウエブサイトの説明文を修正したりロゴを作ったり、いろいろ改善していくにつれて、コブラを購入してくれる人が次第に増えて行きました。
コブラを作り始めた当時には、他にフルートのすべり止めアクセサリーが存在することを知りませんでした。
もし知っていたら、私はそれらのすべり止めアクセサリー
ここに写真を挿入
Making-Cobra–04
コブラ製作中の様子 3
を買って満足していると思うので、自分でコブラのようなすべり止めアクセサリーを新たに作ろうとは、決して思わなかったと思います。
後に、コブラと同じ目的を持ったフルートのすべり止めアクセサリーが、他のいくつかのメーカーから売られていることを知ることになり、その時は少しショックを受けたのでした。
何故なら、同じ目的のすべり止めアクセサリーが既に売られているのなら、自分が苦労してコブラをここまで作り上げる必要は無かったし、他のメーカーの商品の方が優れていればコブラを販売する必要は無いからです。
そこで、ネットでさらに調べて、見つけたメーカーのすべり止めアクセサリーを全て買うことにしました。
そして使い比べて見たのです。
そこで分かったことは、すべり止め効果と言う点に関しては、コブラ以上に満足できるものは無く、コブラの方がどのメーカーのものより圧倒的に優れていたのです。
ただし、他のメーカーのいくつかは、デザイン的な完成度が高く、見た目の美しさではコブラが負けているように感じました。
そこで、機能面だけではなく、見た目の美しさでも、他のメーカーより良いものを作りたい、と思うようになりました。
そういう意味では、幸い私はプロダクトデザインとグラフィックデザインの両方の仕事をして来ているので、見栄えの良いデザイン画を描くことは、それほど難しい作業ではなかったのです。
ところが、コブラはその構造上、他のメーカのすべり止めアクセサリーのように、原型を作ってそれを鋳型にして、プラスティックを流し込んで量産するという製造法が不可能なのです。
ここに写真を挿入
Making-Cobra–03
製作過程のコブラたち
ですから、形のいいコブラの絵は比較的簡単に書くことが出来ても、実際にそれを自分で、手作りするとなるとなかなか大変で、絵に描いたような思い通りの形に作ることが出来ませんでした。
コブラは、単一素材で出来上がっているのではなく、金属線、樹脂、合成ゴム、シリコーン、その他、複数素材を組み合わせて作られていて、特に「コブラBタイプ」は見かけ以上に大変複雑な製造工程になっています。
もし、これを作れるような自動製作機械を作るとしたら、大変なコストが掛かる事になるでしょう。
ですから、コブラは手工芸作品を作るのと同じように、全ての工程を一つ一つ手間隙かけて、手作業で製作しています。
ですから、他のメーカーの商品のように、型にはめて量産できるものと比べると、どうしてもある程度高額な値段設定にせざる終えないのが難点といえば難点だと思っています。
しかし、その値段以上の効果と価値のある製品を作ることを心がけて製作しています。一度、実際に使っていただければ、それは納得していただけるものと思っています。
コブラ日本に上陸
今では、この日本語でのコブラ紹介サイトを作りましたこともあり、日本でもコブラを愛用していただいている人がしだいに増えてまいりました。
それまでは、英語が出来る方が、英語のサイトから時々購入してくださるといった感じでした。
しかし、私は日本人ですし、これからは日本に住んでいる方のために、更にコブラを購入しやすくしなければいけないと考えています。
そこで、現在ある方にお願いして、英語を使わなくても購入できる、日本語専用のネットショップでコブラを購入していただけるようにするという計画もあります。
現時点では、何時になるかはまだ未定です。

・コブラの近未来の姿は?

コブラを開発した当初は、コブラの必要性を感じる人というのは、、フルートを習い始めたばかりの初心者方がほとんどだろうと思っていました。
しかし実際に販売してみると、予想に反して、むしろ上級者やプロの方でした。
その理由は、上級者になればなるほど、シビアで高度な演奏技術が要求されることになり、またハイレベルのコンクールやオーディションを受けるといった深刻な状況に身を置く人たちが、多くなることからのようです。
コブラを使うことで、それまで以上に自己の限界を超えた高度な演奏が可能になるので、他のフルーティストたちと差をつけたいと真剣に願う人にとっては秘密兵器となるでしょう。
その他には、毎日長時間の演奏で、手に負担を感じているプロのフルーティストの方です。
そういったハイレベルな演奏をされる方のほうが、コブラの有用性を理解できるので、価値を認めてくださっているようです。
実際それらの方々から、効果があったという喜びのメールをいただくことが多くなりました。
そして、更に面白いと思ったことは、上級者になればなるほど、見てくれよりも実用本意な考え方をされるようで、コブラのように、指に多少余計なものを付ける事になっても、少しでも演奏が楽になるのなら、気にしないという方のほうが多いことが分かりました。
これは、私の当初の予想に反する意外な結果でした。
初心者の方はフルートを演奏するときにどうしても、手に無駄な力を入れてしまい、フィンガリングのスムースな動きをさせるのが難しいわけです。
コブラを使うと上級者のように手の力を抜いてリラックスした状態で演奏する事が出来ますし、またその練習に最適です。
そういう意味では、初心者や中級レベルの方がコブラを使用してもフルートの演奏に大変効果があると思っています。
将来はどんな人の手にも簡単に合わせられるよう、調整範囲が広く、より使いこなしやすいコブラの形を目指してそのようなコブラを開発中です・・・・・・
そういう意味では、コブラはこれからも、まだまだ進化させていくつもりです。
そして、コブラの基本構造を特許出願していましたが、この度ついにアメリカでの特許を正式に取得することが出来ました。
US Patent No. 8269086 B1 です。
これは少し遠い将来のお話になるかもしれませんが、
「全てのフルーティストの手にコブラが・・・・!」 を目指したいと思っております。
フルーティストが本当に必要としている理想のコブラとはどういう姿なのか?
ご使用いただく皆様から喜ばれ、更にお役に立てるコブラとなるよう、ご利用者様の立場に立ったコブラ作りを目指し、改良を重ねていく予定です。
コブラの更なる成長のためにご意見をお聞かせいただければ、コブラ製作者として励みとなり、大変嬉しく思います。
以上です。

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